私には三つ上の兄がいます。
頭がいいけど、通信簿には毎回のように「落ち着きがない」と書かれていました。

実はお兄ちゃんと犬猿の仲
話せば喧嘩ばかり…

力では負ける
宿題も、分からないから聞いてるのに途中で怒りだす。

短気にも程がある。
怒り方はお父さんによく似ています。
鬼みたい…

なるべく近付かないようにしてました。
めんどくさいから。

お母さんも困ってたし… お兄ちゃんもお父さんも怒りんぼから。

ある日の大喧嘩
あまりにも腹が立って、何をすれば気が済むか考えました。

玄関先でぶっとばされた私
仲裁に入ったのはお母さん
早く離れて!まい子も自分の部屋に行きなさい。

私は悔し泣き
どうにもこうにも気持ちが収まらない…

お兄ちゃんが気に入っていた靴を自負の部屋がある三階から思いっきり投げたのです。

とりあえず片方だけ
それでもイライラして、もう片方の靴は土手に投げました。

ばーか…
お兄ちゃんなんか大嫌い!!
家に戻ってからは何だか落ち着かない。

何故だろう…
やっぱり、投げた靴が気になる。

気にいってたはず。
どうしよう…
罪悪感が芽生える

しばらくして、お兄ちゃんが謝りにきました。
いつもならゴメンなんて、絶対に言わないのに…

下を向いたまま何も言えず。
夜の8時頃にソーッと抜け出して、泣きながら投げた靴を拾いに行きました。

無い 無い 無い
暗いし、どこに目掛けて投げたのか分からない…

喧嘩したときの怒りは消えていた。

部屋から投げた靴は裏の家の屋根に乗っていたので、例の竹馬で引っ掛けて取ることに成功。
誰にも見られていない。

よかった~

翌日お兄ちゃんは無くなった靴を探してました。
しかも見つからないのは片方の靴

結局最後まで言い出せませんでした。
あの日から30年後ぐらいに、お母さんとお兄ちゃんに話しました。

アリとキリギリス


そんな事があったのは覚えてないみたい。
私の中では、ずっと忘れることができないままでした。

謝るって、簡単なようで簡単じゃない
ごめんなさいの一言
なかなか言い出せない性格

謝らないで、得することなんてないのに。
損をすることばかり。

あんなに仲の悪かったお兄ちゃんは、極道の世界に入った私をずっと心配してくれてました。
余計な事を口には出しませんでしたけどね。

石原まい子

姐さん「任侠」記 (宝島SUGOI文庫)
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姐さん「任侠」記
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赤と黒の履歴書



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