小学校の4年生になると、家庭科の時間が楽しみです。
何故かというと、調理実習が始まります。
お裁縫が苦手な私
けれど、お料理を作るのは大好き。
本を読んだりして何気に勉強してました。
調理実習がスイーツと決まった時には嬉しくてたまりません。
毎日のようにカレンダーを見てました。
初めての実習ですからね。
作るのはクレープに決定!
今のようにクレープ屋さんがない時代…
もうワクワクですよ。
グループごとで作ります。
前の週に他のクラスがクレープを作ったので、一口もらって食べたんです。
美味しい~
生クリームとバナナ入り
チョコレートも掛かってました。
匂いでもたまらない。
私も同じように作るき満々です。
各グループそれぞれ5人ぐらいはいました。
決めたのは先生。
普段あまり話さないグループと一緒。
「美味しく出来ればそれでいい・・」
目的は食べること。
材料を分担してました。
そして待ちにまった調理実習。
あちらこちらで甘~い匂いがしてきてます。
何だか私のグループは、みんな動くのが遅い、静かすぎ…
もう・・・・
他は出来上がってるのに…
早くしなきゃと焦るばかり。
なんと、バナナを持って来る子が忘れてきてしまったのです…
最悪・・・
「ばか…一番大切な物を忘れるなんて」
一生懸命、生クリームも機械を使わず作ったのに…
当時、ハンドミキサーなんて学校にはなかった。
なかなか泡立たない生クリーム…
思ったより大変
それでも美味しくできるためには必死。
私がバナナを持ってくればよかった・・・
他のグループの子が缶詰のサクランボをくれたのです。
よりによって缶詰のサクランボとは…
うれしくない
美味しくないし・・・
あれは飾り用にしか見てなかった。
何もないよりかはマシ?
やる気のないグループに入ってしまったのが間違いでした。
みんな暗いし、楽しくないのかな?
クレープの生地を焼き、生クリームを入れてサクランボは飾りに2つ。
見た目が寂しい・・
あ~あっ。
他の子達は「美味しい」と騒いでる。
あれだけ楽しみにしていたのに、いざとなったら食欲が失せました。
お好み焼きみたいな生地の厚さ。
柔らかくもない・・・
固まった小麦粉が点々としている。
先生が食べた感想を聞きにきました。
「美味しく出来ましたか?」
シ~ン・・・・
不味い…
不味すぎる
感想を言う気にもなれない。
「食べきれない子はお家に持って帰って、お母さんに食べてもらいなさいね」
中身がないクレープ
しかも美味しくない
本当に・・・
そんなものを渡せるはずがありません。
アルミホイルに包み、ランドセルに入れました。
奥のほうに・・・
家についたら何も言わず、机の引き出しに隠しました…
見付からないように。
結局、家のゴミ箱には捨てることが出来ずじまい。
どこに捨てるべきか・・・
数時間なやんで、外の排水口みたいな所に捨てました。
近所の人に見られないかドキドキ
お母さんは、私が学校でクレープを作ったのを知らないまま…。
それでよかったと思ったのは幼い考えかもしれない
現在この年齢でもクレープが好きなのは逆トラウマ(笑)
美味しいクレープしか食べません。
明るくて元気でしたが、この頃までは内気だったのです。
かわいい年頃
楽しみしていた調理実習が悲しい時間に変わった思い出。
因みに現在のわたくしの娘は19。
ケーキ作りは得意です。
姐さん「任侠」記 (宝島SUGOI文庫)
姐さん「任侠」記